キーワード解説・Q&A

障害程度区分(NHKハートネットより一部引用。)

※障害程度区分によって受けられるサービスの量が決まる
 障害程度区分は、福祉サービスの利用者の心身の状況を判定するために、市町村が認定するものです。「区分1~6」の6段階があり、これによって受けられる福祉サービスの量が決まります。

 判定は106項目にわたる調査で行われ、うち79項目は介護保険と同じ内容です。残りの27項目が障害に関する内容となります。調査結果はコンピュータで判定され、これを一次判定とします。医師の意見書を考慮しながら、有識者による審査会で二次判定が行われます。
 一次判定と二次判定を元に障害程度区分が認定されます。さらに、本人の意向や生活状況が加味されて、最終的な支給が決定されます。

   ↓<変更!>

障害支援区分

 「障害程度区分」を「障害支援区分」に改め、その定義を「障害者等の障害の多様な特性その他の心身の
状態に応じて必要とされる標準的な支援の度合を総合的に示すものとして厚生労働省令で定める区分」とす
る。【平成26年4月1日施行】


→厚労省のページ「名称変更

変更ポイント

→障害支援区分に係る「認定調査員マニュアル」(確定版)等について(宮城県障害福祉課

<特別支援教育>

 平成18年6月の学校教育法の一部改正により,平成19年度より「特殊教育」から「特別支援教育」と法定されました。
 「特殊教育」の対象であった盲,ろう,知的障害,肢体不自由,病虚弱,言語障害,情緒障害の7 障害にLD,ADHD 等の発達障害を含めその対象が拡大されたのが「特別支援教育」です。発達障害の子どもは,通常の学級(高等学校を含む)に在籍していますから,特別支援教育の場が通常の学級にも及ぶことを意味しています。

 

<個別の教育支援計画>

 現在は,特別支援学校での作成・策定が義務となっています。児童生徒の生育や教育目標(短期・長期)や各種記録を記載してあります。実際の指導を計画・記録した「個別の指導記録」と併せて策定・指導に生かすことで効果的な指導ができます。

 下記のHPがありましたのでご紹介します。

北海道教育委員会の「個別の教育支援計画」例

 

自閉症スペクトラム 

 英国の児童精神科医ローナ・ウイングは自閉症スペクトラム(ASD)を社会性、社会的コミュニケーション、社会的イマジネーション、それぞれに質的な偏りがみられる、「3つ組の障害」と定義しました。

 

  また、感覚の敏感さ/鈍感さなどの感覚の偏りや、その他の精神症状も併せ持ちやすいとされています。

 

以下に、三つ組と感覚の偏りについて、解説します。

社会性

同年代の他者と相互的な交流を行うことが困難なことが基本的な特性です。

幼児期には他者の存在への無関心、人より物への興味の強さで表現されることが多いです。学童期以降には親密で対等の関係を友人と構築することの困難さが特徴です。

ただし、ASDの人たちの社会性は発達しないわけではなく、ゆっくりと発達し、変化していきます。知的に高い人たちは、これまでの経験をもとに自分で特性が目立たないようにカバーしている人も少なくありません。

 

 社会的コミュニケーション

コミュニケーションには、表出(話すことや表情・仕草などで表現する)と理解(聞くことや相手の表情や仕草をみる)があります。対人場面におけるコミュニケーションは、そうした表出と理解の両方が円滑かつスピーディに行えることで成立します。

 

ASDの人のコミュニケーション障害はコミュニケーションの発達が遅れが本質ではなく、社会的場面でのコミュニケーションの方法が独特であるのが特徴です。例えば一見流暢に話し、専門用語や四文字熟語などを多用する人でも、意味を十分に理解せずに使用していることがあります。音程や抑揚、早さ、リズムに偏りがあり話し方が単調であったり、リズムが不自然だったり、自分の好みのことを一方的に話し続けることや相手の言葉をそのまま繰り返してしまうといったこともコミュニケーションの方法の偏りです。

 

また、言葉を字義通りに受け取ってしまう、言葉の裏を読むことが苦手、相手の発した言葉の中で自分の気になった部分のみに着目してしまうといった偏りがあります。

 

社会的イマジネーション

ものを並べる、特定の物を集める、変化を嫌う(同じ行動を繰り返す)などの“こだわり”と言われる行動は、イマジネーションの障害が背景にあります。次に起こることを想像することが難しく、自分なりに見通しを持つことが出来ないため、同じパターンを繰り返し行うことで安心しやすいと言われています。また、自分の好みの物を集めることや揃えることを好んだり、せっかく集めても、それを本来の目的ではなく、たた蒐集することだけで満足することもあります。

 

目に見えない物(イメージ)の共有は苦手なことが多い一方で、そこに具体的な実物、写真、絵、文字などの情報が見える形であると、イメージを他者と共有しやすくなるのが特徴です。

 

感覚の偏り

感覚刺激への反応に偏りがあることが多く、聴覚、視覚、味覚、臭覚、触覚、痛覚、体内感覚などすべての感覚領域で鈍感さや敏感さが生じます。

 

聴覚:ある音には敏感に反応するが、別の音には鈍感であるなど、音源の種類によっても反応が異なることが多いです。工事現場や花火の音、車の走る

   音に対し苦痛を感じ耳をふさぐ子どもが大声で話しかけられても全く気がつかないということもあります。

視覚:手をかざしたり、横目をしてみたり、特定の視覚刺激を恐れるなど、視覚的な刺激に対する独特の感じ方があります。ミニカーを走らせて楽しむ

   よりも、タイヤの回る部分に注目して見ることに熱中し、横目で物を見る感覚刺激を求めるなどの行動がみられることが多々あります。隙間から

   ものを見ることを好む人もいます。

味覚:味、温度、固い食べ物、舌触りなどに過敏であったり、逆に鈍感だったりします。

臭覚:香水、消毒の臭い、体臭など特定の臭いを極端に嫌がったり、逆に人や物の臭いを頻繁に嗅ごうとすることもあります。

触覚:人から触られることを嫌がったり、軽く触られただけでも叩かれたように感じ、怒り出す人もいます。特定の感覚刺激を好む場合もあり、自分で

   頭を叩くなどの自己刺激行動を起こすこともあります。

温冷感覚:暑さ寒さに鈍感で低温火傷になったり、少し暑いとクーラーをつけることに固執することがあります。

 

これらの感覚の特異性については、ストレスが高まったときにより強く出ることもあります。わがままと受け取られがちですが、感覚情報処理の偏りとみなして対処する必要があります。

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<LD(学習障害)>

LDは,次の4つのことで定義※されます。
①聞く,話す,読む,書く,計算する又は推論するといった基礎的な学習能力のうち特定の能力の習得と使用に著しい困難がある
②上記①は全般的な知的発達の遅れによるものではない
③他の障害や環境的な要因が直接の原因になるものではない
④背景に脳の機能障害が推定される
※1999年7月「学習障害児に対する指導について(報告)より」

◆よく似た文字を読み間違えたり,行をとばして読んだりする。
◆筆算の桁をずらしてしまって,計算ミスを繰り返す。

などの困難が表れることがあります。耳からの情報処理に課題があると,
◆個別に言われれば聞き取れるが,一斉の指示では指示を聞きもらす。
◆話の流れについていけなくなる。
などの困難が表れることがあります。つまずきの背景を考えて,子どもの得意な情報処理過程を活用して,指導を展開することが大切です。

 

<ADHD(注意欠陥多動性障害)>

 ADHD は,次の3つの症状で定義されます。
不注意:注意の持続が困難である
多動性:過剰な活動や動きがある
衝動性:衝動のコントロールができない
そして,以下が診断の基準になります。
・上記3つの症状が,その子どもの年齢の発達水準に不釣り合いであること
・症状のいくつかが7歳未満に存在し,継続していること
・学校や家庭などの2つ以上の場面で症状がみられること
・知的障害や自閉症などが認められないこと

※中枢神経興奮薬での対症療法:リタリンやコンサータの薬を使用することも。

 

<高機能自閉症>

 自閉症は3歳以前に発症し,次の3つを基本症状とします。
①社会的な相互交渉の質的な障害:他人との社会的関係の形成の困難さ
②コミュニケーション機能の質的な障害:ことばの発達の遅れ
③活動と興味の範囲の著しい限局性:興味や関心が狭く特定のものにこだわる
◎高機能自閉症は,自閉症のうち知的発達の明らかな遅れを伴わないものを指します。
◎自閉症の3つの基本症状のうち,コミュニケーションに関する障害の軽いものをアスペルガー障害といいます。

 

<広汎性発達障害(PDD)>

 広汎性発達障害とは,一般的に知的障害のある自閉症から知的障害のない自閉症までを包括する自閉症の上位概念として認識されていて,高機能自閉症やアスペルガー障害などの総称として用いられています。自閉症スペクトラム(連続体)ととらえることもできます。
DSMーⅣ(米国精神医学会の診断基準マニュアル:第4版)によると,広汎性発達障害は,次の五つの診断に分類されています。
・自閉性障害(自閉症のこと)
・レット障害
・小児崩壊性障害
・アスペルガー障害
・特定不能の広汎性発達障害

 

<特別支援教育就学奨励費>

 特別支援学校や小・中学校の特別支援学級で学ぶ際に,保護者が負担する教育関係経費について,家庭の経済的状況に応じ,国及び地方公共団体が補助する仕組みです。
(1)概要
 保護者の経済的負担能力に応じて学用品の購入,給食,修学旅行等の経費のうち必要であると規定される経費について全部もしくは一部を援助するもので,国及び地方公共団体は就学援助事業の二分の一の額をそれぞれ負担します。
(2)支給項目
学校給食費,交通費(通学費,交流学習費,職場実習交通費等),修学旅行費,新入学時学用品購入費,学用品購入費,寄宿舎日用品費等

 

<DAISY>

 DAISYとは、Digital Accessible Information SYstemの略で、日本では「アクセシブルな情報システム」と訳されています。

 ここ数年来、視覚障害者や普通の印刷物を読むことが困難な人々のためにカセットに代わるデジタル録音図書の国際標準規格として、40カ国以上の会員団体で構成するデイジーコンソーシアム(本部スイス)により開発と維持が行なわれている情報システムを表しています。

 DAISYコンソーシアム公認のオーサリングツールを使ってデジタル図書を作ることができ、専用の機械やパソコンにソフトウェアをインストールして再生をすることができます。国内では、点字図書館や一部の公共図書館、ボランティアグループなどでDAISY録音図書が製作され、主な記録媒体であるCD-ROMによって貸し出されています。

DAISY録音図書の特徴
■目次から読みたい章や節、任意のページに飛ぶことができます。

■MP3などの最新の圧縮技術で一枚のCDに50時間以上も収録が可能です。

■W3Cの標準技術であるXHTML(webページを記述するための言語)、静止画や動画、テキストや音声を同期させる言語であるSMILをDAISYの仕様に取り入れています。

■マルチメディアDAISY図書は音声にテキスト、画像をシンクロ(同期)させることができます。

(以上Enjioy Daisy HP :http://www.dinf.ne.jp/doc/daisy/index.htmlより一部引用。)

 

<TEACCHプログラム>
1972年、ノースカロライナで生まれたティーチプログラム。
Treatment and Education of Autistic and related Communication Handicapped Childrenの頭文字をとっている。幼児期から成人期にいたるまで、自閉症児に関わるあらゆる立場の人が包括的に支援していくためのプログラム。
 ティーチと言うと、カードや衝立というイメージがついてまわるが,大きなポイントは「構造化」という概念。自閉症の特性を考えた上で、①物理的構造化、②時間的構造化(スケジュール)、③ワークシステム、④視覚的構造化が四大要素といわれている。

物理的構造化:意味と場所が一致できるように空間を分けること。
スケジュール:今、何をどうしたらいいのかを理解しやすくする、次に何をしらたいいのかを伝える。
ワークシステム:始めと終りを理解するのが困難なので、いつ、どこで、何を、どれくらい、終わったら何があるかを伝える。
視覚的構造化:言語理解が弱い症児のために、絵カードや文字を使う。
※文科省の自閉症支援のことに関する記載にも、「ティーチプログラムや行動療法は有効である」とある。